−A Craime And Punishment−

 

 葉が拗ねた。なぜだか分からない。
 朝は普通だったのに・・・・なんで拗ねてるのかしら?
 そんなことを考えているうちに、
 葉はあたしの作った修行メニューを次々とこなしていく。
 しばらくすると葉の修行が終わったので、
 タオルと冷えた麦茶を 出してやる

 「お疲れ様。」

 「おお。」いつもは笑顔で『サンキュッ。』
 とかって言ってくれるのに今日は違う。
 笑顔の代わりにムスッとした顔。
 お礼の代わりに無愛想な返事。     

 ねぇ、なんでそんなに拗ねてるの?   


 夕食の時間も葉の機嫌が直ることはなかった。
 
相変わらずムスッとした顔で黙々とご飯を食べている。

 葉が作ったご飯
 少ない会話
 二人だけの食卓


 すべていつもと同じ。
 けど違う。
 だって足りないのよ。
 笑顔が。葉の笑顔だけが欠けているの。
 ご飯がおいしく感じられない。
 変ね、葉の作ったご飯なのに・・・。

 なんか寂しいわ・・・・。

 葉はご飯が終わると早々と片付けてお風呂に入ってしまった。
 葉はお風呂からあがるとテレビを見ていたけど、
 入れ替わりで入ったあたしがあがったときには
 すでにいなくて、自分の部屋に戻ってしまったようだった。
 何も言わずに部屋へと戻ってしまった葉。 
 それが悲しくて、寂しくて泣きそうになった。
 だけど堪えた。必死で堪えた。
 それでも葉に嫌われたのかって思ったら涙が出てきた。     

 キラワレタラドウシヨウ
 アタシニハヨウシカイナイノニ
 ネェ、キライニナラナイデ
 ステナイデ
 ハナレテイカナイデ・・・・

 「・・・っく・・・・・・ひっ・・・・」

 必死で涙を止めようとした。
 だけどあとからあとから溢れてくるばかり。
 必死で声を殺そうとした。
 だけど殺すことなんてできなかった。
 そのとき、声が聞こえたのだろうか。
 階段を下りてくる足音と、葉の声を聞いた。

 「アンナ!?」

 葉は目を丸くし、
 あたしに駆け寄るとぎゅうっと抱き締めてくれた。

 「よ・・・う・・?」

 「・・・・ゴメンな・・オイラ、
 アンナをこんな風に泣かして最低だな・・・・・。」

 「・・・・ひっく・・」

 「ゴメンな・・・。」

 葉はただひたすら泣くあたしを抱く力を強め、
 辛そうな顔をす る。

 「そ・・な顔しないで・・・・。」

 「アンナ・・・?」

 「あんたが悪いんじゃない。
 だってあんたが怒ってたのはあたしのせいなのでしょう?
 ねぇ、なんで怒ってたの?」

 「・・・それは・・・・。」

 口ごもる葉。やっぱりあたしのこと嫌いになったのかしら?
 不安がこみ上げる。

 「あたしに言えないことなの?
 それともあたしのこと嫌いになったの?」

 「違うっ!!そんなことあるはずがないだろっ!!!」

 「じゃあ、なんで・・・・?」

 「・・・・だってよ・・・アンナさ今日学校で
 男子と話してたろ・・・。」

 「え?」

 「だから、アンナがオイラ以外の奴と話してたろ!?
 しかもそいつに笑いかけてたじゃねぇか!!」

 「・・・もしかしてあんた、
 たったそれだけのことで拗ねてたの?」

 「おう、悪いか・・・?」

 あたしは気が抜けてしまった。
 あたしの目から溢れていたものが止まり、
 代わりに笑いがこみ上げてきた。

 「な、なんだよ!笑うなよ!!」

 顔を赤くしながらもくすくすと笑うあたしを止めようとする。

 「だって、そんなくだらないことで拗ねてたなんて。」  

 「くだらなくなんてないぞ。
 アンナが・・・オイラ以外の奴と話したり
 笑いかけたりすんの見てっと苦しくなるんよ。」

 「葉・・・・。」

 葉はいまだ顔を赤く染めながらも、
 先ほどとはまったく違う真面目な顔をする。

 「だからオイラ傷ついたんよ。」

 「悪かったわ・・・。でもわざとじゃないのよ。」

 「知ってるぞ。
  けど、どっちにしてもアンナは罪を犯したんよ。」

 「罪?」   

 「おう、罪だ。
 アンナはオイラに対して精神的苦痛を与えたんよ。
 だからアンナの罪はオイラへの精神的傷害罪だ。
 罪を犯したアンナには罰を与えなきゃなvvv」

 次の瞬間あたしの体は宙に浮いた。
 そしてあたしを抱えた葉は軽い足取りで二階へと向かう。

 「ちょっと!降ろしなさい!!」

 「やだね。
 アンナはこれからオイラによる罰を受けるんだからなvvv」

 「何よ!罰って!!」

 「ん〜、オイラもアンナも楽しいことvvv
 あ、そうそう。今夜は寝かせねぇからなvvvv」

 「んなっ////」

 幸せそうにユルい笑顔を浮かべながら
 階段を上るあたしの旦那様。
 あたしはその旦那様に抱えられながら小さなため息をつく。     
 いいわ。今日だけはあんたの罰を受けてあげる。
 旦那様の我儘を聞くのも妻の役目ですもの。
 あたしったらなんていい妻なのかしら。
 二階に着き、ふすまが開けられた。
 そして今日も罪を償うための罰が執行される。



          
  END