忘れることは果てしない優しさとほんの少しの残酷さ

 

 −Ash−

 

 ずり落ちた布団から晒された肩が寒さを訴えて、
 あたしは目を覚ました。
 軽く擦ると布団の中の体とは、
 比べ物にならない程に冷えていた。
 ふと見ると枕元にあった時計は5:00を指している。
 身震いをして肩を竦めながら布団に入ると、
 足元へとやった目が無造作に脱ぎ捨てられた浴衣を捉えた。
 どうするべきかと迷ったが、
 外気の冷たさと寝起き特有の気だるさが
 あたしを布団の中に留めさせた。
 隣で眠る旦那と顔を向き合わせると、
 掛かる前髪を除けるようにして撫でた。
 へらっと緩む頬を触れるようにして軽く抓る。

 「何の夢見てんのよ・・・・」

 夢の中でもあたしが居たら嬉しいと思い、
 眠るつもりは無いけれど、
 とあたしは白い瞼を伏せた。

 *     *     *

 何かが頬を触れた感触で目を覚ますと、
 まず視界に飛び込んできたのは
 寝息一つも立てずに眠る彼女だった。
 頬に添えられたては冷たく、
 先程の感触が何物かを理解した。
 その手を軽く握る。
 目を細めると、
 なぜか一緒に眠るようになった日の事を想い出した。

 『あんたは失いたくないものが多すぎるもの。
 きっとあたしの事なんかすぐに忘れちゃうわ』

 オイラが戸惑いながらも聞いた質問の答えがコレだった。
 そうして彼女は続けた。

 『だからせめて現実では一緒に居ようと思って。
 あんたが起きた時、すぐにあたしを想い出せるように』

 言いながら今と同じように頬に手を添えた彼女は、
 綺麗に微笑んだ。

 「忘れるわけ無いのにな・・・・」

 オイラはこんなにも捕らえられていると言うのに・・・・・

 「不安なのはオイラの方だ・・・」

 「何が?」

 不意に聞こえてきた声に目をやると、
 アンナは完全に開いた目をこちらへ向けている。

 「起きてたんか」

 「えぇ、少し前にね。それで何が不安なの?」

 「ん〜〜・・・・忘れられるかどうかって事」

 「何それ?」

 「さぁな」

 「変なの」

 そう笑う彼女の頬に触れると、
 彼女は気持ち良さそうに目を細める。
 締め切ることの出来なかったカーテンからは、
 一筋の光が漏れていた。

 

 END

 
 
 羅斗ちゃんへの相互品です〜〜。
 毎回毎回有難うねぇ>▽<
 一応『寝起き夫婦』とのリクでした。
 一応寝起き??(汗)
 寝起きなのにシリアス方面ってどうなんだろう・・・・。
 取りあえず受け取ってくだされ〜!!
 相互ありがとでした!!