−Bitter&Sweet−

 

 


 「なぁ、アンナ〜。今日が何の日か知ってっか?」

 「さぁ、何の日だったかしら?」

 「すっげぇ大切な日なんよっ」

 「ん〜〜、あぁ、
 聖バレンタインとかっていうヤツの命日だったかしら?」

 「そうなんだけどよ・・・・・」

 「なによ、ほかに何かあった?」

 あたしは読んでいた雑誌から一旦目を離し、
 横で寝そべる葉を見る。
 そう、今日2月14日はバレンタインデー。
 男も女もこの日を意識しているらしく、
 近づくにつれてそわそわとした態度をとる。
 それは葉も例外ではなく、
 4〜5日ほど前からあたしの顔色を窺い(うかがい)、
 2日前になってくると『甘いものが食べたい』とか
 『チョコが食べたい』などとわざとらしくあたしの前で言う。
 その都度あたしはそれを軽くあしらうか、
 無視をするという対処を取っている。
 そして今日は数えるのも億劫(おっくう)になるほど、
 遠まわしなおねだりを聞かされていた。

 あたしが再び雑誌に目を移すと、
 あたしの視界にいたはずの葉が消えた。
 それに気づいた時、
 あたしの膝の上にはズシリとした重さが。
 見るとそこにはあたしの腰に腕を回し、
 拗ねたような、強請るような目であたしを見上げる葉。

 「・・・・・何よ」

 「オイラチョコが食いたいんよ」

 「買い物ついでに買ってくれば?」

 「そうじゃなくて、チョコがほしいんよ」

 「だから買ってくればって言ってるでしょ。
 はい、今日の買い物リスト」

 そう言ってあたしが渡したメモを握り締めると、
 葉は財布を持ち不満気な顔で買い物へと出かけていった。

 *  *  *  *

 深いため息と共に買い物から戻ってきた葉が
 夕食を作っていたのはほんの数時間前。
 お風呂から上がったあたしはそのまま台所へと入る。
 冷蔵庫のドアを開け、
 下にある引き出しの一番奥に手を伸ばす。
 そしてあたしの指に触れた物を手にし、
 あたしは葉の部屋へ向かった。

 「葉、入るわよ」

 あたしはとりあえず断りを入れてから葉の部屋へ入る。
 電気も点いていない葉の部屋を照らすのは、
 窓から差し込む月光。
 そしてその窓辺に座っている葉に近づく。

 「葉」

 葉は相当拗ねているようで、
 あたしが優しく声をかけても振り向きもしない。 

 「ねぇ、コレなんだと思う?」

 そう言ってあたしが葉の前に翳した(かざした)のは、
 さっき冷蔵庫から出してきたハートの形の・・・・・・・

 「チョコレート・・・・・・・?」

  「そう、チョコレート。ほしい?」

 「お、おう!ほしい!!」

 「そう、じゃあ・・・・・」

 手中にあるチョコの赤い包み紙を剥がし、
 葉の唇のソレを挟む。
 解らないといった顔をする葉に、
 あたしは顔を近づけた。
 カリッと小さな音を立ててチョコが割れた。
 そしてソレをあたしと葉の口腔を行き来させるたびに、
 甘すぎるほどの感覚があたしたちに広がった。
 やがてチョコが溶けてなくなってしまっても、
 あたしたちはソレを続けていた。

 「んっ・・・・・・はぁ・・・・・」

 音を立てて唇を離す。

 「ウへへへ〜〜vvvvゴチソウサマvvv」

 葉の満足気な笑みを見て、
 あたしは自分のしたことを後悔し、
 恥ずかしさで目を逸らした。

 「お返し・・・・期待してるわよ」

 「おう、まかしとけ」


 one drop of honey fell in a dark sky.
 
the honey was watching two persons
 
who become the moon
 
and pass this sweet sweet day
 fortunately with a soft light.


 END

 

 管理人より愛を込めてvvvv(いらねぇ)
 管理人今年は本命をあげる人がいないので(泣)
 フリーにします。
 文体がおかしいだなんて
 そんな今更なこと気にしないで下さいvv
 スランプなんで仕方ないんですよ★←言い訳。
 ちなみに裏に続きます。
 興味のある方はどうぞvvv

 

 −詩の訳−

 暗黒の空に一滴のはちみつが零れ堕ちた
 
そのはちみつは月となり
 
柔らかな光で
 この甘い甘い日を幸せに過ごす二人を見守っていた