いつだって夢見ていた


−Dolls−


それはいつもの光景にほんの少しの違和感を足したようなものだった。
玄関に散らばる糸は赤く、
それはそこら辺へと延びていた。
様々な太さの糸の中からオイラは細く切れそうな、
あいつの唇の色に一際近い糸を手繰った。
そのまま段を上がれば糸は襖の向こうに続いていて、
こちらへ来いと示しているようだった。
“何があるかだなんてわかりきったこと”と自分の利かせると、
何気なしに後ろを振り返る。
上がってきたはずの段はすでに闇に呑まれ、
オイラの後退を許さない。

――――戻る気なんてさらさらねぇよ・・・

掠れた音を立てて足を踏み入れると、
窓際に座り外を眺めるアンナがこちらを向いた。
余りにも艶めかしく微笑むものだから足を進めて口付けようとしたら、
ぷつりと糸が切れて糸もアンナもいなくなった。


 *   *   *


目を開けると眼前は明るく、
光で痛い目を擦りあれは夢だったのかと思考に過ぎらせた。
起き上がった身体で首だけ動かし下を見ると、
いつもどおり安眠を貪る嫁がいた。
腹這いになって紅茶色の髪を弄び、
どこかで見た夢だと考える。
ぼけ〜っとアンナを眺めていたらふと幼い頃の、
アンナと出逢う以前のことを思い出した。

「あぁ・・・あんときの・・・」

そう呟くと浴衣の裾を引かれた。
冷たく柔らかな感触を肌に感じると、
未だ眠たい目を持つアンナがいた。

「おはよぅ・・・・」

「おぉ、おはよ」

『ん〜〜〜〜』っと猫のような唸り声を上げながら目を瞑る様は可愛らしく、
その姿にぐらっと崩れかける理性を感じた。
抑えてぎゅっと頭から抱きしめると、
風が起きて軽くオイラの頬を撫でた。

「やっぱオイラにはお前だけなんだな」

「は?」

「何でもねぇ」

オイラはそう言って糸を捜すようにして、
アンナの指のオイラの指を絡めた。

 

END

 

50000hit感謝のフリーです〜。
よかったらどうぞお持ち帰りくださいなv
一応設定的には旦那が幼少時に見た夢を今になってもう一度・・・
みたいな感じで。
でもそんな押し倒そうとかなんて事は見てないですよ!!(多分)
一応『なんか女子がいたな〜』って感じで(笑)
幼少の頃は純粋だった(過去形)と信じてます。