注)コレは旦那が亡くなる話です。
最後のほうはどちらかというとハッピーエンドですが
死ネタが嫌い・許せないなどという方はお控え下さい。
読まれて苦情を頂いても私は責任は負いません。
それでも「読んでやるか」という心優しいお方は↓へ。
S.F終了後でS.Kには旦那がなったという設定です。
−儚き者の尊さを−
蒼い蒼い空の下には木々に囲まれた野原。
その中央に悠然と構えるのは大きな大きな石碑。
その石碑を見上げ、陽の眩しさにあたしは目を細めた。
「・・・・葉・・・・・」
石碑に近づき腕を回す。
冷たいはずの石碑はなぜかいつも温かく、
あたしはその温かさに涙した。
* * * *
あれはとてもよく晴れた日だった。
少し前からあった、
あたしを狙う気配には気づいていた。
けど、数日間はその気配は
少しも感じられなかったから安心しきっていたの。
それがいけなかった。
「あぁ・・・離・・さん・・・・いつも・・ずっと、
傍に、居る・・・。だかなアン・・・ナ・・・オイラのた・・・めに、笑ってみ・・せ・・て・・・」
葉があまりにも奇麗な笑顔でそう言うものだから、
あたしは今までに無いくらいの
幸せな笑みを葉に手向けた。
「アンナ・・・・奇麗だ・・・・・・ずっと、ずっと・・愛してる、ぞ・・・・・」
葉はとても幸せそうな顔をすると、
そのまま静かな眠りに就いた。
あたしは葉を抱き締め、
ただただ涙の海に溺れていた。
* * * *
数日後に執り行われた式には、
たくさんの者たちが出席してくれた。
真っ白な花に沈んだ葉は、
白い装束を纏い、
幸せそうに微笑んでいた。
式場から別の場所へと運び込まれる。
あたしは四角い小さな鉄の部屋を前にした
葉の前に立ち、葉を見つめる。
葉の頬から躯へと指を滑らすと、
蝋のように冷たく、
触合った唇は氷のように冷ややかだった。
あたしは炎に溺れていく葉が、
霄(そら)に染み込んでいくのを見続けていた。
「・・・・・手向け歌・・・天つ国つの社より、
かずを尽くして神や受くらむ・・・・」
あたしの頬を伝っていくのは一筋の涙だった。
* * * *
あたしは葉と別れた日の事を思い起こして、
ふと自分は微笑んでいることに気がついた。
昨日今日の事の出来事のように、
とても鮮明に思い出せることに嬉しさを感じ、
自分の中での葉の存在が此処まで大きく、
此処まで深く染み込んでいる事に
泣きそうになった。
そしてあたしは石碑から離れ、
この身に宿る新たな命の鼓動を、
静かに感じていた。
彼方の居ないこの人生(とき)が
異様なまでに切なくて
彼方の居ないこの人生が
異様なまでに悲しくて
それでも、彼方の居ないこの人生も
空は異様なまでに澄み切っていて
それが無性に腹が立って
けれども雨の滴る日には
彼方は涙を流していて
陽の燦々と降り注ぐ日には
彼方は笑みを零しているのでしょう
それが今のあたしにとっての
最高の幸せなのです
END