傷なんて癒えなモノだから
 いっそこの手で***
 その足枷すらも包み込んで

 

  grife 6

 

  雪の中を歩く。
 アンナが羽織っているコートは、
 オイラが持って来たものだった。
 そのコートの端からちょこっと出た手を握ると、
 それは氷のように冷たい。
 少しずつの体温の移動を感じる。

 「・・・・心配かけてすまんかった・・・・」

 強まる手の力と小さな彼女の軋む手。

 「・・・・・・別に、別に心配なんてしてないから・・・。
 ただ、寂しかっただけだから・・・・」

 歩く度にさくさくと音を立てながら、
 着実に冷えつつある身体でアンナは続けた。

 「・・・だからもう、独りになんてしないで・・・・
 あたしより先に死ぬなだなんて言わないけど、
 せめて今だけは・・・・まだ、居なくならないで・・・」

 白い吐息に混じる声は切実なる押し殺したものだった。


 以前アンナは言った。
 『死ぬ事が恐いんじゃないわ。
 アンタを置いて逝くのがただ簸たすら悔やまれるだけよ』と。
 そしてオイラは言った。
 『生きてる事が辛いんじゃない。
 ただ、お前が消えちまうことが酷く恐いだけだ』と。
 そしてまた一つの約束をした。
 『例え互いの肉体が滅び、
 魂が朽ち果てたとしても・・・・』と。

 「・・・・あぁ・・」

 アンナは立ち止まり真正面からオイラを見つめると、
 泣きそうに微笑んだ。
 両の手に預けられた先程の手は既に温かい。

 「・・・おかえりなさい」

 ――――あぁ・・・・・

 「・・・・ただいま」

 ――――あぁ・・・それは・・・・

 

 

 それはまるで闇をも包む光のよう

 

  END

 

 薄荷人終了です〜〜。
 ここまでお付き合いいただき有難う御座いましたv
 途中途中付け足し足り色々としていたのでなんか可笑しい。
 しかしただ単に一っ番最後の文を書きたいが為に
 書き始めた物だったのですが、
 結構好評を得たので正直驚きでした。
 それを読んでくださった方々には感謝感謝ですvv
 また何か連載を始めましたら、よろしくお願いします。