それはあの頃を生きていた証
−古傷−
「イテテテ・・・・」
そう呟いてオイラは自分の腹に手をやった。
薄っすらと付いた刀傷。
先程の戦いで出来たものだ。
「葉、入るわよ」
掠れた音を立てて開いた襖。
そこには浴衣姿で救急箱を手にしたアンナ。
「どうしたんだ、ソレ」
「“どうしたんだ”じゃないでしょ?あんた怪我したでしょ」
「おぉ、こんなのどうってことねぇよ」
「バカ言ってないで見せなさい。消毒するから」
オイラは大人しく浴衣の袷を開く。
吹き付けられた消毒液が傷に染みて、
僅かながら顔を顰めた。
消毒液を拭き取りアンナは傷に指を這わせた。
「傷・・・・また増えたわね」
「ん?あぁ」
「・・・・・・・・・ねぇ・・・もう傷つかないで?
誰のためであっても・・・・・」
俯くアンナの顔は見えない。
だかそれは容易に想像できた。
「それは無理だ」
静かに直線を描いていた髪が幽かに揺れた。
「この傷はなお前を守れたっつー勲章なんよ」
「でも・・・・この傷は一生消えないのよ?
この傷がある限りあんたはあたしの責任を負わなきゃならないのよ?」
真新しい傷に触れていた指をそのまま古く深い
傷跡に這わせる。
「あぁ、それでいい。
それでお前を繋ぎとめて置けるならそれでいい」
「でも・・・・・・」
「それじゃあいかんのか?」
首を横に振るアンナの髪を撫でてやると
アンナ頬に水が流れた。
「ありがとう・・・・・・」
「おぉ」
END
相変わらず山も意味も落ちもない。
因みに蜥蜴郎戦そのあとでってな感じです。
蜥蜴郎戦ではなくて10歳の時の大鬼との戦いが本命。