あなたがいなければ
ぼくはなにも見えなかった
−イノセントワールド−
昔々、オイラがまだ幼くクリスマスというイベントが
町でしか関係を持っていなかった頃サンタに、
『自分にとって本当に必要で大切な人がほしい』と願った。
結局願いは叶わずに25日の寒々しい朝に、
一人では広すぎる部屋で諦め混じりに溜息したことがあった。
そして今、クリスマス一色に染められた町を背にして
ちらりと横目で彼女を見て、
コートの裾から出る細く冷たい手を握った。
「どうしたの?」
「別に〜〜」
嫁の機嫌がいいのもクリスマスの影響だろうか?
そうだとしたら感謝したいと
オイラは柔らかく問いかけてきたアンナの声を
耳ん中に閉じ込めるようにして肩を竦めた。
「クリスマス、明日だな」
真っ黒な空に吹きかかる息は白く空気を震わせる。
「そうね。って言っても何もやらないわよ」
「わかっとる」
予想通りの答えに苦笑いをし、
自分のより細いアンナの息を見つめていたら
オイラの目を覗き込むアンナの目とぶつかってこれまた細い息が疑問を紡ぎ出した。
闇にのさばる冷たい空気で肺を震わせてから、
オイラは自分にまだ何も守ることの無かった頃の話をした。
何の気兼ねもなしに騒ぐヤツラが羨ましかったこと、
その中でただ酷く切実にアイデンティティーを確立させたかったこと、
そしてそのために望んだ大きな願い事のこと。
何も言わずに何もせずに聞いていたアンナは
冷たくなった右手を両手で温めるようにして包んで言った。
「あたしも昔、似たようなことを願ったわ。愚かにもね、叶わないって想いながら」
「・・・・・・」
「でもね、叶ったの。だからこれ以上に願うことなんてありはしないと想うの」
『違う?』と諭されるように言われて
『いんや違わねぇ』と笑って返した。
「んじゃあ今年のクリスマスも一緒だな」
「当たり前でしょ?あんたが起きて一番に目に入れてもらうわ。ところで・・・」
「ん?」
「あたしには何もないのかしら?」
オイラの前に立ったアンナは笑って言った。
それにオイラも笑って言う。
「もちろん、あるぞ」
「あら楽しみね」
再び手を握るともう明かりの見え始めた『炎』へとゆっくりと一歩ずつ足を進めた。
今夜もいい夢が見れそうな気がして、オイラは軽く瞼を伏せた。
END
メリ〜クリスマ〜ス☆★(早)
最近不純さが目立つので純粋に純粋に行こうと思ったら
クリスマスから外れてやっぱり純粋にはいけなかった・・・・。
ってかそんなガキのころからアイデンティティーの確立望んでんの?旦那、みたいな(笑)
私なんて未だ不安定だよ(笑)
こちらもフリ〜になりますのでご自由にv
皆様ステキなクリスマスをお過ごしくださいませ〜〜>▽<