−壊れゆくもの−
「いやぁっ・・・・よ・・ぅやめ・・」
泣き叫ぶあたしの前には、
ただ無表情な顔であたしを責め立てる葉。
なぜこんなことになったかなんて分かりきった事。
* * * *
既に日常の一部と化している告白の場に選ばれたのは、
普段からまったく人気のない体育館裏だった。
「恐山さん、好きなんです。付き合ってくれませんか?」
「ゴメンナサイ、アナタノ気持テニハ応エラレマセン。」
あたしは今まで何度言ったのか分からない言葉を言う。
そいつは俯きがちだった顔を上げあたしを見る。
「なんで?好きな人でもいるの?」
「えぇ、いるわ。」
「・・・それって麻倉?」
あたしは驚いた。
まさか葉の名前がこんな時に出てくるなんて
思ってなかったから。
「なんで・・・・なんで俺じゃなくてあんな奴なんだよ!!」
そいつは声を絞り出すようにして叫ぶと、
あたしを体育館の壁に押し付けた。
そしてあたしの首筋に舌を這わせ、
リボンを外しブラウスに手をかけた。
「やっ・・・ちょっと止めなさい!!」
「・・・・・あんな奴よりも俺のほうがいいって事
教えてやるよ・・・。」
あたしは必死で抵抗する。
でもそれはそいつの欲を掻き立てるだけでしかなかった。
気持ち悪い・・・・・・
葉以外の男に触れられただけで吐き気がする。
そいつはあたしのブラウスを引き千切り、
その汚らしい唇を胸元に這わせようとした。
「っ・・・葉・・葉っ!!」
「アンナ!!?」
走ってきたのか息を切らした葉は憎悪に満ちた表情で、
静かにあたしを犯そうとした男に近づく。
その気迫に気圧されたのか、
男はあたしを話し悲鳴ともつかぬ声を上げ
校舎の方へと走っていった。
葉は未だ憎悪に歪めた顔をあたしに向け近づく。
「葉・・・・あり・・がと・・・。」
葉はあたしの腕を掴むと、
そのまま近くにあった体育館へを入った。
あたしはマットの上に投げ出され、葉は後ろ手に鍵を閉めた。
「・・・葉?」
小窓から差し込む夕日が照らしたのは
憎悪も嫉妬の欠片すらない、ただ無表情な顔をした葉だった。
葉はあたしに歩み寄ると
立ち上がろうとしたあたしを押し倒し、
唇を押し付け舌を差し込んできた。
「んんっ・・・・ふ・・はぁ・・・・」
十分に口内を穢しあうと葉は男が点けた痕を消すようにして、
深く噛み付くような痛みと共に緋の痕を残していく。
「かはっ・・く・・・しぃ・・・」
徐に葉はあたしの両の胸を掴むと、強く強く握り始めた。
握っては離し握っては離すことを繰り返す。
その苦しさに慣れてしまった頃、
葉は今まで握っていた胸の先にある突起を
指や舌や葉で転がし始める。
あたしは先程とはまったく違う感覚に身を捩じらせ、
葉が与える快感に溺れていく。
それでもあたしは微かに残った理性と羞恥心で
葉の行為を止めようとする。
か細い腕で葉の頭を押し、
葉の足の間にある自分のそれを必死でバタつかせる。
けど所詮は男と女。
どうしたってあたしが葉の力に敵う筈がない。
ましてや葉は毎日あたしの修行をこなしている。
あたしの足は葉に押さえられ、
腕はあたしが身に着けていた数珠によって動きを封じられる。
あたしは手首に絡まる数珠から必死で逃れようとする。
けどそんなことですら無力で、
葉を前にした時の自分の非力さを思い知る。
そんなことをしてる間にも、
葉はあたしの耳・項・首筋・胸・腹・足を舐め上げ
指を這わせ歯を立てた。
その都度にあたしは躰を大きく震わせ、
秘部からは愛液が零れる。
「淫乱だな・・・・。」
手首を縛られ制服も下着もすべてが
中途半端に脱がされている
あたしを葉は冷ややかな眼で見下ろす。
あたしはそんな葉を恐ろしく思い、そして愛しいと思った。
葉はあたしの足の間に顔を埋め、
愛液の流れ出るそこを音を立てながら舐め始めた。
「っふ・・・・・ぁんっ・・やぁ・・・・ひゃあっ!」
不意に葉があたしの秘部の中央にある突起物を噛んだ。
あたしが分かるくらいの大量の愛液が流れ出す。
その時既にそれを一滴も零さないようにと舐め取る葉に
抵抗することすら思い浮かばなくなっていた。
葉はあたしの上体を起こすと、
胡坐を掻いている自分の上に座らせあたしの肩を噛む。
そこには薄っすらと痕が残った。
葉は何も告げずにあたしの秘部に自分の肉棒を押し付け、
それを捻じ込むようにして押し込んだ。
「はぁンっ!んっ葉・・・苦・・しぃ・・・」
葉はなおもあたしの首筋や肩に歯を立てる。
その度のあたしは葉の背中に爪を立てた。
そしてきついきついキスをする。
口内に収まりきることのなかった唾液が、
口の端を伝い、首筋を伝い胸元へと落ちた。
唾液で濡れた唇を離すと透明な糸が引き、やがて切れた。
葉はあたしの耳元に顔を寄せ、
呪い(まじない)のように呟いた。
「アン・・ナ・・・オイラだけの・・・・アンナ
・・誰に・・も渡さない・・・オイラだけ・・の・・・」
刹那あたしの中で何かが弾けた。
そして葉の中でも・・・。
葉があたしの中から出て行くと“ごぽっ”と言う音と共に、
白濁した葉とあたしの精液が混じりあい
静かにあたしの腿を零れていった。
あたしは意識が遠のいていく中で、葉の涙を見た気がした。
* * * *
あたしが気が付いた時、眼前には見慣れた天井があった。
上体を起こすとあたしは制服でなくて、
いつもの浴衣を着ていた。
さっきのは夢だった?
そう思いたかった。
けど、その思いを打ち砕くかのようについた手首の痣と
体中に残る緋と歯の痕。
それらのすべてが先程の事は現実だと、
夢ではないと主張する。
あたしは布団から出ると重い足取りで葉の部屋へと向かった。
自己嫌悪に陥っているであろう葉が心配だった。
「・・・葉・・・。」
あたしは葉の部屋の前に立ち名前を呼ぶが返事はない。
静かに襖を開けると中には
あたしに背を向け座っている葉がいた。
「葉?」
あたしの声に反応して葉の肩が大きく震えた。
葉へと足を進めた時、葉は声を張り上げて叫んだ。
「近づくな!!!」
「・・よ・・・う・・・?」
今までに聞いたこともない葉の声と言葉に
あたしは凍りついた。
どのくらい経ったのだろう?
未だあたしたちは動けずにいた。
時間にすればたったの数分。
でもあたしにはとてもとても長い時間に思えた。
あたしは未だ口を噤んだ(つぐんだ)
ままでいる葉を抱き締める。
そんなあたしを葉は引き離そうとするが、
あたしは更に深く深く抱き締める。
「オイラに近づくなっつただろ!!!」
「どうしてよ!?どうして近づいたらいけないの!!?」
「・・・・・いんよ・・・。」
「え?」
「・・・・オイラは・・オイラはアンナを傷つけた・・・
だからオイラにはアンナを守る資格も
側にいる資格すらないんよ!!
オイラにはお前を愛する資格なんてないんよ!!!」
葉は顔を歪め、絞るようにして声を出し叫んだ。
あたしは葉の背中に回していた手を
葉の頬にあて優しく包み込む。
「アンナ・・・?」
「そんなことない・・・・そんなことあるわけないでしょう。
あたしを傷付けていいのも、守っていいのも、
側にいていいのも、
そして愛していいのもあんたただ一人だけなのよ。」
あたしは微笑むと、葉は涙を流した。
「アンナ・・・すまんかった・・・。」
二人が頬を合わせると、
互いの雫が溶け合い二人の元へと零れていった。
END