良いモノほど貪欲に求めるものだろ?


 −メモリーズ−


 
 いつも間にか陽も長くなっていた。
 今日は珍しくアンナとは別に帰路へつく。
 『委員会があるから先帰ってて』と言われ、
 久しぶりにまん太と一緒に帰ることになった。
 その帰り道、まん太に聞かれた。

 「ねぇ、葉君。もうすぐで誕生日でしょ?何が欲しい?」

 ―――――タンジョウビ・・・・・?

 首を傾げるオイラと、ワザとらしい溜息を吐くまん太。

 「もしかして葉君、忘れてた?」

 「おぉ」

 「葉君らしいと言うかなんと言うか・・・
 ・・で、何かある?」

 欲しいもの・・・・・・特にないんよな。
 欲しい人なら居るんだがな。
 デェッヘッへ///
 そういやぁ、
 最近はあいつらに邪魔されてばっかだ・・・・・(泣)

 「ん〜〜・・・・・じゃあ、
 アンナと二人っきりにしてくれんか?」

 「それだけ?」

 「おぉ、それだけ」

 まん太は『相変わらずアンナさん一色だね』と苦笑いし、
 大きな十字路でオイラと別れた。
 視界に入った遠くの空はオレンジ色に滲んでいた。


     *     *     *


 五月十二日。オイラの誕生日。

 「葉、あんた今日誕生日でしょ。何か欲しいものある?」

 アンナの意外な発言にオイラは顔を上げる。

 「覚ええててくれたんか・・・・?」

 「当たり前でしょ。
 旦那の誕生日忘れるなんてバカなことはしないわ」

 嬉しい一言。
 オイラは少しばかり遠慮がちになり、
 上目遣いでアンナを見た。

 「何でもいいんか・・・・・?」

 「えぇ、あたしがあげられる物ならね」

 考える。
 そして真顔で

 「アンナ」

 むぎゅぅっ

 「バカ言ってんじゃないわよ」

 抓られた(泣)

 「何でもいいって言ったくせに・・・・」

 「そんなんじゃ、あたしの体がもたないわ」

 何の躊躇いもない言葉にオイラの顔は赤くなる。
 それを見て不敵な笑みを浮かべうアンナは、
 多分解っててやってる。
 顔の熱を冷ましてもう一度聞いた。

 「何でもいいんよな」

 「ならキスしてくれ。アンナから。」

 一瞬で赤くなるアンナ。

 「なっ・・・・・///
 そんなことできるワケないでしょう!!」

 「ダメなんか・・・?」

 アンナがこれに弱いことは十分承知。
 知られたらただじゃすまないだろうが、
 それも解ってワザと拗ねてみる。
 赤い顔はそのままで、『はぁ』と軽い溜息を吐いて、
 オイラの前に手を着いた。

 「今日だけよ・・・・・こんなこと」

 「ウェッヘッヘ、わかっとるよ」

 『閉じて』と言われた眼を薄く開けてアンナを見る。
 震える睫毛と、イヤでも眼を惹く赤いクチビル。
 頬に添えられたては小さくて、冷たい心地よさ。
 重ねられたモノは柔らかくて、
 そこから漏れる吐息は熱かった。
 空いた手でアンナの腰を引き寄せ、
 抱き締めると腕に柔らかな感触を感じた。
 一度閉じた眼を開くと、苦しそうに眉を寄せるアンナが居た。
 離したくはないが、これ以上はアンナが怒りそうだ。

 「んはぁ・・・・・」

 話と唾液が糸を引いて、切れた。
 そして一滴の小さな小さな滴が畳に零れ落ちる。
 アンナがオイラの腕の中で言った。

 「・・・・・誕生日オメデト・・・・・・・」

 「満足?」

 力を込めて抱いた。

 「いんや。まだ全然足りん」

 良いモノほど貪欲に求めるものだろ?

 

 END

 

 あぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・(脱力)
 ワケわかんないし・・・・・。
 何処が誕生日なんでしょう?
 別に誕生日じゃなくたっていいんじゃないですか?
 ホント無理です。もう無理!!