まっすぐに想う、ただそれだけ
−Ms.crazy−
熱く、息を切らした葉がどさりとあたしの横に寝転がると、
やけに湿った、妙な空気があたしたちの周りに散らばった。
「は、ぁっ、疲れた、な」
「バカ、限度を知りなさい、明日も試合だってのに」
「へへ、まぁいいじゃねぇかよ」
『負けたら承知しないわよ』
と睨みを利かせると
『わかってるよ』
と人の気も知らずにヘラリと笑う。
こちらへ投げ出された腕に軽く頭を乗せると、
激しく脈打つ音が聞こえた。
汗ばむ皮膚に髪が張りつき、強く、薫る。
眼を閉じて、深く深く息を飲み込むと、
頭の奥がふっと軽くなった気がした。
閉め忘れたカーテンが風に揺れる音がする。
「よかったのかしら…」
「ん?」
「あした」
「あぁ…仕方ねぇだろ」
トーンの違う声が鼓膜をすり抜けたとき、
ふと眼を開けると、
彼は酷く強い瞳をしていた。
――――あ、また。ねぇそんな瞳しないで。
手を延ばせば触れられて、
近づけば心臓の音が聞こえる。
こんなにも近くにいるのに。
ねぇ、一人にしないで、
先に行かないで。
まっすぐに想う、ただそれだけなのに。
どうしたってこんなにも寂しい。
こんなにも、切ない。
あたしは隣にある体温に縋りつくようにして身を寄せた。
ただ、このときだけは優しい夢を、と眼を閉じて。
END
ありがとうございました。