与えられたのは切なくとも蜜のような幸せ

 −願い一片−

 
桜の花が綻び始め、花冷えが訪れたある日のこと。

 「ねぇねぇたまおちゃん」

 「何でしょう?」

 「たまおちゃんってさ、葉さんのこと好きだったんだよね?」

 先ほどからたまおと一緒に
 雑誌をしながらお茶をしていたピリカが、
 身を乗り出すようにして問いかけてきた。

 「はい・・・」

 たまおは恥ずかしさを感じ俯くと、
 口の中で留まるような声で返事をした。
 声が小さかったのは恥じらいから来るだけのものではなくて、
 ほんの少し、まだあの人を憧れる気持ちが残っていたから。

 「あの、さ、こんなこと聞くのはどうかと思うんだけど、
 葉さんがアンナさんと一緒にいるところとか見たりして
 辛くなったりしないの?」

 先ほどの勢いは弱まり申し訳なさそうに言うピリカ。
 たまおは恥ずかしい意識を宥めつつ、
 少し考えて口を開いた。

 「・・・・・・以前は・・辛いというよりも悔しかったです。
 ずっと葉様のお側にいたのは私なのにって。
 なんでだろうって。
 でもアンナ様は変えてしまったんです。
 私が長年お側に仕えても変えられなかったモノを
 アンナ様は経った数日で変え、
 その上私には無い絆を築き上げてしまった。
 それを知ったとき、私には敵わない、
 あの二人の間には誰も入ることは許されない、
 あの二人は離れてはいけないんだと思えたんです」

 「たまおちゃん・・・・」

 たまおはほんの少しの苦味を噛み締めたような笑みを
 ピリカに向け、両の手で桜色の湯飲みを包んだ。
 温かさが冷えた手に痺れを与えながら浸透していく。

 「だから今は、お二人が一緒にいることがとても嬉しいくて、   
 素直に喜べるんです。
 それにお二人が空間を共有していると、
 ただそれだけでその場の雰囲気が和む気がするんです
 葉様はアンナ様に、アンナ様は葉様にしか向けない
 表情と優しさが、
 お側に仕える私にまで伝ってきて
 ・・・・・とても幸せなんです」

 「たまおちゃん・・・・・・・・いい恋したんだね」

 「はい」

 その声は先ほどとはまったく違い、自信に満ちた声だった。

 「いい恋、できました」

 外にはまだ、散ることを知らない花々が綻び続けていた。

 

 END


 相互でveritas様へv
 「たまおから見た葉とアンナ」
 だった気がするのですが・・・・。
 これはたまおの恋なのでは???
 毎回のことながらリク、こなせてません(滝汗)
 あんなステキイラに対してこんなものでスミマセン>△<
 もぅ、なんとでもしてやってください〜〜!!

 相互有難う御座いました>▽<