あなたのいた影
あなたの吐いた吐息
あなたの見た景色
あなたのいた世界
−nostalgia−
多分それは余りにも衝動的過ぎるものだったのかもしれない。
あたしは一人、
い草の香りの漂う部屋で葉の戦闘服を手に取ると、
溜息を混ぜてそれを広げた。
S.Fで傷ついたオレンジ色の戦闘服に針を入れると、
針に穴から出る戦闘服よりも少し淡い色をした糸が
蜜柑色の夕陽に当たりその色の濃さを増す。
「終わった・・・」
呟き、ぱさりと音を立てて眺めると
繊維の一つ一つに染み付いた彼の匂いが鼻腔を擽った。
なぜだか寂しさが込み上げてきて
包まれたい衝動に駆られたと気が付いたときにはもう、
ファスナーを下ろしワンピースを脱いだ身体を戦闘服の中に投げ込んでいた。
ファスナーをあげれば大きすぎる布地があたしを包むと同時に、
現実であたしを突き放した。
ふと目をやった肩口に付いた血液が、
脱いだときに見えた彼の新しい傷を思い出させて
あたしは切なさに身を抱きしめ唇を噛み締めた。
外ではもう、街灯が光を灯している。
END
短いですが・・・。
ちょっと前に別のところでのみupしたもの。
修正加えました。