〜おやゆび姫〜モグラ奮闘気〜




 昔々あるところにチューリップの花から生まれた、
 とても可愛らしい女の子がいました。
 その女の子の背丈は親指ほどだったので
 『おやゆび姫』と呼ばれていました。




 ある日の夜、
 おやゆび姫がいつものように
 小さな小さなベッドで寝ていると、
 窓の外をカエルが通りかかりました。
 カエルはおやゆび姫を見ると
 一目で好きになってしまいました。
 おやゆび姫を我が物にしたいと思ったカエルは、
 窓をぶち壊しおやゆび姫の部屋に侵入しました。

 「なんて綺麗なんだvvvボクの妻にピッタリだね★」

 するとカエルは可愛らしい寝息をたてるおやゆび姫を
 攫っていってしまいました。




 おやゆび姫が目を覚ました時、
 いつもの自分の部屋でないことに気づきました。

 「・・・・ここどこよ・・・・・。」

 低血圧のため些か不機嫌なおやゆび姫が呟きます。
 するとそこへカエルがやってきました。

 「おはよう、おやゆび姫vvv爽やかな朝だねvv」

 爽やかな笑顔を辺りに撒き散らしながら
 おやゆび姫に近づいてくるカエルに、
 おやゆび姫をビンタをくらわせました。

 バチンッッ!!!

 「ここどこよ。なんであたしがこんなとこにいるの?」

 おやゆび姫をカエルの襟刳りを掴み、
 少しばかりドスの聞いた声でカエルに訊ねます。

 「ははは〜vvv痛いよ〜、おやゆび姫vvv」

 「質問に答えなさい。」

 殴られても笑顔を崩さないカエルが、
 おやゆび姫の怒りを更に倍増させます。

 「しょうがないな〜、ここはボクの家だよv
  そして君はボクの妻となるためにボクが連れてきたんだ!!」

 その答えを聞いたおやゆび姫は
 先程よりも強烈なビンタをくらわせます。

 バチーーンッ!!

 そのビンタに沈められたカエルは
 床に崩れたまま微動だにしません。
 そんなカエルをおやゆび姫を放置し、
 さっさとカエルの家を後にしました。
 カエルの家を出た、
 それまではよかったのですが問題がおきました。
 カエルの家の周りは泥沼だったのです。
 仕方なくおやゆび姫は側にあった蓮の花に乗ると
 そのまま川を下っていきました。
 しばらく川を下っていくと
 一羽の綺麗な黒い蝶に出逢いました。

 「ちょっと、そこの黒蝶。」

 「ん?何だ貴様は?」

 黒蝶は振り返るとおやゆび姫の近くによって行きます。

 「あんたこれであたしを引っ張っていきなさい。」

 と赤いリボンを蝶に差し出します。

 「なんでこのオレがそんなことをせねばならんのだ!?」

 黒蝶が叫ぶとおやゆび姫は黒蝶を睨みます。

 「あんたあたしの言うことが聞けないわけ?
 ならあんたの大事な姉さんがどうなっても知らないわよ。」

 脅すようにして言うおやゆび姫を
 黒蝶は仕方なく引っ張っていくことにしました。
 おやゆび姫は黒蝶の腰と蓮の花にリボンを巻きつけます。

 「くっ、なんでオレがこんなことを!」

 「グダグダ言ってないで早くなさい!!」

 黒蝶がおやゆび姫の乗った蓮の花を引っ張ると、
 今までとは比べ物にならないほどの速さで
 ぐんぐんと川を下っていきます。




 するとそこへコガネ虫が飛んできました。
 コガネ虫はおやゆび姫の細い細い腰を掴むと、
 おやゆび姫を連れて飛んでいってしまいました。

 「ダメじゃないか、おやゆび姫。
 君は僕の妻に・・・ぐふっぅ!」

 意味の分からないことをいうコガネ虫の腹に
 おやゆび姫はコブシをプレゼントvv
 コガネ虫は殴られた時に
 誤っておやゆび姫を落としてしまいました。

 「おやゆび姫っ!!」

 コガネ虫は慌てておやゆび姫を探しましたが
 結局見つけることはできませんでした。




 一方おやゆび姫は、
 柔らかな枯葉の上に落ちたために助かったのでした。
 おやゆび姫が森の中をさ迷い歩いている内に、
 季節は冬となっていました。
 薄いドレス一枚しか纏っていないおやゆび姫を
 寒くて寒くて仕方ありません。
 それでも歩き進んで行くと野ねずみの家に辿り着きました。

 トントン

 おやゆび姫がドアを叩くと中から野ねずみが出てきました。

 「オマエ誰だ?」

 「あたしはおやゆび姫。
 春が来て暖かくなるまであたしをここへ泊めなさい。」

 寒さでここえる体を抱きながら野ねずみに頼みます。

 「分かった、オマエここに泊めてやる。」

 小さな野ねずみはおやゆび姫の頼みを
 快く受け入れてくれました。


 

   *  *  *  *

 

 



 ある日おやゆび姫がいつものように
 部屋でワイドショーを見ていると、
 野ねずみがモグラを連れてきました。
 モグラはおやゆび姫を見ると嬉しそうに近づいてきます。

 「生きていたんだね、おやゆび姫!!
 ずっと探していたんだよ!!
 ボクの妻となるべき人がどこへ行っていたんだい!!?
 でもそんなことはどうだっていいんだ!
 君が戻ってきてくれたのだから!!
 さぁ、僕と君の愛の巣へ行こうvvvv」

 モグラはおやゆび姫の腕を引っ張り
 無理矢理自分の部屋へ連れて行こうとします。

 「痛っ!ちょっと痛いわよ!!離しなさい!!」

 「ダメだよvv今離したら君は逃げてしまうだろ?」

 「当たり前でしょっ!!
 何であんたなんかについていかなくちゃいけないのよ!!?」

 おやゆび姫は未だ腕を掴んでいるモグラに
 ビンタを食らわせようと、
 振り上げた右手を勢いよく振り下ろしました。
 しかし驚いたことに
 ビンタをモグラに止められてしまったのです。
 ビンタが止められることなど初めてでした。
 モグラは目を見開くおやゆび姫の腰を引き寄せました。

 「そう何度も同じ手が通用すると思うかい?
 だがますます気に入った。
 君はやはりボクに妻になるのが相応しい」

 さっきとはうって変わってとても真面目な顔を見せます。

 「甘いわね・・・あたしにはまだ左があるのよ!!!」

 バッチーーーン!!!

 「ぶっ・・・!!」

 おやゆび姫の高く振り上げられた左手はモグラの顔を直撃!

 「あたしを口説こうなんて百年早いのよ!!ふんっ!!」

 おやゆび姫は幻の左で沈められたモグラに
 そう言い捨てて部屋を出て行きました。




 カタン

 玄関のほうからの小さな物音に気づき
 おやゆび姫が少しだけドアを開けると、
 そこには寒さで凍えるツバメが倒れていました。
 おやゆび姫はツバメを自分の部屋に入れ、
 毛布で包んでやりました。
 しばらくするとツバメは目を覚ましました。

 「ありがとな・・
 ・・・さっきよりは大分温まったぜ・・・。」

 ツバメは弱弱しい声でお礼を言います。

 「礼ならいらないわ。それよりあんた、
 元気になったらあたしをどこか遠くへ連れて行きなさい。」

 「おう。それくらいのことだったら任せとけっ。」

 ツバメは頼もしい返事をすると再び眠りにつきました。
 こうしておやゆび姫の看病のおかげで、
 ツバメはどんどん元気になっていったのでした。




 そしてある春の日、モグラがおやゆび姫を訪ねて来ました。

 「やあ、おやゆび姫vvvv
 突然だけど明日はボクと君の結婚式なんだvvvv
 君も嬉しいだろう?このボクと結婚できてvvvvv」

 これまでにないくらいの大量のハートを
 飛ばしてくるモグラをおやゆび姫は無視します。

 「あぁ!おやゆび姫!!君は僕を無視するんだね!?
 あっ、そうか照れているのか!!可愛いなぁvvvv
 それじゃあまた明日ね、今日はゆっくり休むといいよvvvvv」

 満面の笑みでおやゆび姫の部屋を出て行くモグラ。
 そんなモグラがいなくなったことを確認すると、
 おやゆび姫は回復しつつあるツバメを揺り起こします。

 「ちょっと起きなさい!
 さっさと起きてあたしを遠くに連れて行きなさい!!」

 「ん〜、まだいいじゃねぇか〜。」

 そんなことを言うツバメにビンタをくらわせます。

 「あんたあたしのこれからの人生がどうなってもいいわけ?
 まさかあたしが助けてやったことを
 忘れてんじゃないでしょうね?」

 とてつもない怒気を含んだ声で問いかけるおやゆび姫に、
 ツバメは怯えまくっています。

 「はいっ、やらせていただきますっ。」

 震える声で返事を返すツバメは
 『ふんっ、最初っからそう言えばいいのよ。』
 と言うおやゆび姫を背中に乗せて窓から飛び立ちました。




 飛び続けたツバメとおやゆび姫が着いたのは
 とても暖かいところでした。
 おやゆび姫は途中にあった花畑で降ろしてもらうと、
 ツバメに別れを告げました。
 ツバメと別れたおやゆび姫が花畑の中で遊んでいると、
 そこを王子が通りかかりました。
 王子は花畑で遊ぶおやゆび姫を見て

 “可愛い・・・////”

 素直にそう思いました。
 王子に気がついたおやゆび姫が王子を見て訪ねました。

 「あんた誰?」

 「オ・・オイラはこの国の王子だっ///オマエこそ誰なんよ?」

 王子は頬を赤く染めておやゆび姫に聞き返します。

 「あたし?あたしはおやゆび姫よ。」

 「おやゆび姫か、可愛いなvvウェッヘッへ///」

 おやゆび姫はほんのりと頬を染めて俯きます。

 「?そうだ、おやゆび姫!
 あ、あの・・・・その・・・////オイラの・・・・////」

 照れながらモジモジと何かを言う王子に
 おやゆび姫はイライラしてきました。

 「何よ!?言いたいことがあるならはっきり言いなさい!!」

 おやゆび姫が怒鳴ると王子は真っ赤な顔をしながらも、
 ますっぐにおやゆび姫を見据えます。

 「オイラの・・・オイラの嫁さんになってくれんか?」

 「え?」

 あまりにも突然のことに驚くおやゆび姫に王子は続けます。

 「オ、オイラな、お前のこと好きになっちまったんよ////
 一目惚れってヤツだな///
 オイラオマエとずっと一緒にいたいんよ、
 だからオイラと結婚してください////
 それともやっぱダメか・・・・?」

 不安そうに訪ねる王子におやゆび姫は戸惑います。
 なんせ出会ってからすぐにプロポーズされたのですから。
 それでもなぜかおやゆび姫は
 “一緒にいたい”そう思いました。

 「・・・・幸せにしてくれなきゃ殺すわよ・・・////」

 「おうっ!!もちろんだ!!
 ぜってー幸せにしてやるよ!!!」

 王子は今までにないくらいの笑みをおやゆび姫に向けると、
 おやゆび姫の手をとり城の方へと歩いていきました。
 それからと言うもの王子は
 おやゆび姫を朝も夜も片時も離さず
 二人幸せに暮らしたと言う。
 そしてこの二人のおかげで王国は一年中花が咲き乱れ、
 人々の笑が絶えない国となったそうだ。



  END....
























 −おまけ其の壱−

 「おやゆび姫〜、どこへ行ったんだい〜;;
 僕と結婚するって言ったじゃないか〜(号泣)」

 「モグラ、野ねずみと結婚する。」

 「え!?」

 「今から結婚式やる。」

 「え、ちょっとまって!!イヤだ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

 「モグラ煩い。」

 ガンッ!! (モグラ野ねずみに殴られ気絶。
 そのまま結婚式へ。) 

 

 

 

 

 −おまけ其の弐−

 「おやゆび姫〜、今夜いいだろ〜?」

 「イヤよ。昨日もその前もしたでしょ!?」

 「え〜、今日もしたいんよ〜。なぁいいだろ?」

 「イ・ヤ。」

 「なら仕方ねぇな・・・・強行突破だ!!」

 「え、ちょっとやめてよ!んっ・・・・・・・ふぁ・・・・」                  

 

 強制終了