−生−

 

 真夏の暑さも通り過ぎ、
 秋の涼しさを少しずつ肌で感じ始めた頃、
 オイラとアンナは出雲に居た。
 そして今、アンナはばぁちゃんと母ちゃんと一緒に
 麻倉の屋敷の数ある部屋のうちの一つに居る。
 その部屋の前でウロウロとするオイラにじぃちゃんは
 『少し落ち着かんか』と呆れたように窘める(たしなめる)。
 落ち着けって言われてもよ・・・
 ・・・・アンナが苦しんでんのに、
 もうすぐでオイラとアンナの子供が生まれるってのに
 落ち着けるわけねぇだろ・・・・。
 オイラとしてはアンナの側で手ぇ握ってやりたかったんだが、
 母ちゃんに止められたんよ。

 「ぅんん・・・・・・ぅッくんっ・・・・・・ッ・・・・」

 「アンナちゃん!もう少しよ、頑張って!」

 「アンナ、もう少しじゃ・・・」

 「・・・は・・ぁ、はぁっ・・・・ふうっんくぅ・・・・・」

 アンナが最後の力を振り絞ったんだろう。
 次の瞬間が赤ん坊の元気な産声が聞こえてきた。
 オイラは目の前の襖を開き、
 飛び込んで行きたいのを抑えて、
 ばぁちゃんや母ちゃんの許しが出るまで
 長く広い廊下で突っ立っていた。
 しばらくしてばぁちゃんと母ちゃんが出てくると、
 オイラは二人の許しを得、
 急いでアンナの元へ行く。
 そしてオイラはアンナの腕の中で
 スヤスヤと眠る赤ん坊を抱かせてもらう。
 それはとても小さくて、
 少しでも力を入れたら壊れてしまいそうだった。

 「ねぇ?小さいでしょう?」

 「おぉ」

 「壊れてしまいそうでしょう?」

 「おぉ」

 「でも・・・それがあたしたちの子なのよ」

 「あぁ、そうだな」

 隣に座るアンナは柔らかな空気を纏って、
 今までに見たどんな顔よりも優しい顔をしていた。
 アンナはオイラの肩に小さな頭を乗せる。
 オイラは肩の上にある命の重さと、
 腕の中にある命の温かさを感じ、
 この至福の時を決して忘れぬようにと、
 全ての痛みを噛締めた。 

 

 END

 

 夫婦出産小説でした〜。
 とりあえず年齢的には・・・・・22〜23歳くらいですかね。
 若くて21歳ですかね。
 18で結婚したとして・・・・・まぁそのくらいで。
 あくまでも私の考えですので、年齢設定はどうぞご自由にvvv