「んぁ…は、ぁ」


空の下、フェンスに背をつけ彼女の頭を掴み引き寄せたら、
自然と唇が重なった。
触れ合うだけでは足りなくて、
吸って、絡めて、舐め回したら
思いきり胸を叩かれて息が詰まる。

―――足りねぇんだ、仕方ねぇだろ

そう目で伝えると涙を浮かべた眼に見つめられ、
なんだか苛めているような気になって高揚するも、
名残惜しいとゆっくりとそれを離してやった。
はぁ、と吐かれた息が目の前にあった貯水タンクを白く濁して、
繋がっていた細い唾液が弧を描き陽に照らされてきらりと光った。


「まだ」

「え…」

「もっと」


再び吸いついた唇は先程よりも赤みを増していた。
唾液に濡れた唇が触れ合い、
ぬるりとした感覚にムズ痒さを覚え、
どうしようもない苛立ちに焦りを感じた。
隙間がないくらいに密着した身体が熱い。
アンナの匂いも呼吸も感触も全て甘くて、
この唇から、舌から、
噛み切って飲み干してしまいたいとさえ思える今なら
カニバリズムにも頷ける。
多分あいつらも愛しかったんだ。
愛おしすぎたんだ。
彼女が冷たくなってしまうくらいに呼吸をこの肺に詰めて、
唇を離し、噛みついた痕に伝う生暖かな血液を
口紅のように縫ってやる。
ぺろりと舐めたらそれさえ甘い。
オルガニズムを感じるように眼を閉じたら、
残像の中でアンナが口を開いた。


「…これでおしまい?」


オイラは再び唇を寄せた。

 

**And that's all…?

 

あいしてる、ころしてしまいたいほどに

 

 

お題を見た時から
「これは嫁に誘ってもらうしかない!」と。
理想形。