一時は甘く優しく柔らかに

 

 −渦−

 

 そう、それはただの偶然。
 いつもより早く起きたのは、
 昨夜閉め忘れたカーテンから差し込む光と、
 いつもより低い気温が
 晒されている素肌に直接触れたから。
 時間があったのは前日の修行の際に
 足を挫いて朝のロードワークが免除されたから。
 ぼやける視界を正すべく、オイラは目を擦ると、
 眼前にはスヤスヤと静かに眠る嫁さん。
 腕枕するオイラの左腕を手を添える形で掴んでいる。
 その腕に掛かる重みと痺れが
 アンナが側に居ることを確かめさせる。
 いつもはきつめに上がっている眉も今は垂れ下がっていて、
 無邪気な寝顔を見せている。
 これは毎日就寝を共にするオイラの特権だ。
 少しだけ上半身を起こして腕枕をする腕で髪を弄ぶと、
 それはキラキラと反射しながらオイラの手から逃げていく。
 それが少し寂しくて、寝息すら立てずに、
 身動きすらせずに眠るアンナが人形みたいで、
 どうしようもなく嫌で人間に戻そうと、
 オイラは抱え込むようにして頬に口付けた。

 「ん・・・・・・・」

 甘い声とぴくりと動いた肩でアンナは人間に戻る。
 それがやたらに嬉しくて、思いっきり顔を綻ばせる。

 「早く起きんかなぁ・・・・・」

 延々と寝顔を見ているのも幸せだけど、
 オイラの名前を読んでくれないもの、
 その瞳にオイラを映してくれないのも
 オイラに孤独を与えて仕方ない。

 ――――オイラも相当キてんな・・・

 一人苦笑いをし、頬を掻くと下で唸るような声が聞こえた。

 「ぅ、ん・・・・ょぉ・・・?」

 「おぉ、オハヨ。まだ寝るか?」

 「ん〜〜〜・・・・・・・」

 返事とは言い難い声を残して、
 再び渦の中へと吸い込まれるアンナの髪を
 柔らかく撫でそのまま抱え込んだ。
 現実だけでは足りないから、
 どうか夢の中でも逢える事を願って。 

 

 END

 

 『嫁バカ旦那を甘甘で』とのリクでした。
 取りあえず甘甘先行で頑張りました(滝汗)
 旦那が肌晒してるのは何でかなんて
 妄想師匠のめぐみ様に託します!!
 今のままでも十二分にお世話になってますけど
 これからもよろしくです〜〜m(_ _)m
 逃げないで下さい(切実)