−ユメ見た後で−
    



 君が側にいなくても
 僕は今までのように
 いい夢を見れるのだろうか?
 笑っていられるのだろうか?



 近頃オイラは夢を見る。
 『鬼の子』と呼ばれ忌み嫌われていた頃の夢を。
 その夢の制で発するおいらの寝言や叫び声が
 アンナを起こしてしまので、
 ついこの前からオイラとアンナは
 自分たちの部屋で寝ることにしていた。
 アンナを起こさなくなったのはいいんだが、
 アンナが側にいない。
 それがとても辛い。
 そして日に日に悪夢はひどくなっていった。
 そして今夜も・・・・



 「・・・・っう・・・・く・・」

 「・・ぅ。・ょぅ、葉!」

 「・・・ん・・ぁ・・」

 アンナの声に反応し眼を開けると、
 暗がりの中で心配そうにオイラを見ているアンナがいた。

 「あんた大丈夫?すごい汗。」

 「おぅ・・・・。」

 アンナは汗で額や首筋に纏わりついた
 オイラの髪を払うようにしながら言う。
 オイラは「大丈夫だ。」そういう替わりに笑った。
 いや、少なくともオイラは笑ったと思った。
 けどアンナは

 「無理に笑わなくったっていいわよ。」

 「え・・・?」

 「辛いんでしょ?
 だったら無理してまで笑うことなんてない。
 泣いていいのよ。」

 次の瞬間、オイラは暖かく柔らかなものに包まれていた。
 オイラは抱き締められていた。
 何が起きたのか分からずうろたえるオイラにアンナは言った。

 「泣きなさい、好きなだけ泣きなさい。
 別に我慢することなんてないのよ。
 一人で泣けないときはあたしがこうしていてあげるから。
 それにこうしていれば泣き顔も見られないでしょう?」

 その言葉が引き金となり、オイラの眼から涙が溢れてきた。
 オイラは声を上げて子供のように泣きじゃくった。
 泣いている間もアンナはオイラを抱き締め、
 背中をさすったり、髪を梳いたりしてくれた。
 それがどんなに嬉しかったか。
 アンナの柔らかな温もりに包まれながら、
 オイラの意識は遠のいていった。



 オイラが次に目を覚ました時、
 アンナはオイラを抱き締めた格好のまま寝ていた。
 可愛い寝息をたてながら眠るアンナを布団に横たえると
 オイラは微笑んだ。
 今度は本当の笑顔で。

 「ありがとな、アンナ。」

 そういいながらアンナの額にキスをする。
 それがくすぐったいのかアンナは頬を緩ませる。

 「・・・・ん・・ょぉ・・・」

 理性の飛びそうななんとも可愛らしい寝言を言うアンナは、
 普段では滅多に見ることのできない
 穏やかな笑みを浮かべていた。
 そんなアンナを抱き締めながら布団に潜り、
 もう一度眼を閉じた。
 ”今度はいい夢が見れる気がする”そんなことを考えながら。



 僕がいい夢を見て
 笑っていられるのは
 君が側にいるからなんだ
 だから
 いつまでも君と眠る夢を見続けたい

 

 END