決して忘れることの出来ない人は優しく寂しい人だった
* * * *
あたしはハオに引きずられるようにしてS.O.Fに乗せられ、
葉のいる民宿『炎』に連れてこられた。
久々に見た葉はとても顔色が悪く痩せこけていて、
一目でどんな生活をしてきたかがわかるようなものだった。
「っ・・・・・・・・」
葉から目を逸らし、泣きそうになるのを堪える。
「アンナ、行こう」
S.O.Fから降りたハオがあたしに手を差し出す。
あたしはその手を取りS.O.Fから降りると、
『炎』の入り口を潜った。
そして静かに葉の前に立つ。
ゆっくりと顔を上げた葉は、ゆっくりと目を見開き、
震える声であたしを呼んだ。
「・・・・・・ア、ンナ・・・・・・・・・?」
ゆっくりゆっくりと震える手を伸ばし、
あたしの存在を確認するかのようにしてあたしに触れる。
「アンナ・・・・・なのか・・・・・?
本当に・・・・・・・」
「・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・」
あたしが目を伏せると葉は笑って、
あたしの頬を両手で挟んで自分に向き直らせた。
「いいんよ、いいんよ・・・・・
帰ってきてくれただけで・・・・・・・お帰り、アンナ」
そう言ってあたしを抱き締めた腕の温もりも
匂いも
何もかも
昔と少しも変わっていなかった。
背が伸びた葉の背に腕を回し、
彼の胸に顔を押し付けて泣いた。
「・・・・・ただいま、葉・・・・・・・・・」
真っ白なシャツに染み込んでいく涙は、大きな染みを作った。
あたしは涙を拭い、ハオに向き直る。
「やっぱりアンナは葉といる時が一番幸せそうだ」
自嘲気味に笑う。
「ハオ・・・・・ごめんなさい・・・・・それと、ありがとう・・・・」
「フフ、いいよ」
ハオはあたしを引き寄せ、耳元に口を近づける。
「幸せになって・・・・・・」
「じゃあね、葉、アンナ。
アンナ、辛くなったらいつでもおいで」
「え、ちょっ、ハオッ?」
ハオは瞬く間に姿を消し、あたしたちはその場に佇んだ。
決して忘れられない人の、
決して忘れられない言葉だけがあたしの中に刻み込まれた。
END
はい〜、片方やっと終わりました〜。
長かった〜。
やっぱ自分は長編には向いてないようです。
でも楽しかったvv
なんか楽だったし。
とりあえずこっちは★はいい人です。
いや、だからと言ってもう片方が厭な人というわけでは
ないのですよ?
途中反転箇所有。