「なぁまん太、これ」

「え?あぁカメラだよ、ポロライドカメラだよ。それがどうかした?」

「否・・・なぁ、これさ・・・」


−喩えば今、−


夕食を終えるなり珍しく自室へと一目散に足を向けた葉は、
先ほどまん太から借りたカメラを前にして腕を組み
眉間に皺を寄せて唸り声を上げながらそれとの睨みあいを続けていた。

「どーすっかなぁ・・・」

手にズシリと来る感覚を感じながら葉は言う。
今まで写真やカメラというものとはあまり縁を持つことがなく、
どちらかといえば嫌いだった。
借りてきたのは興味本位、というだけのものではない。
本戦まで日がなく、残すところあと僅かである上に、
行ったら行ったでいつ帰ってこれるのかなどいうことは予想もつかない。
否、無事に帰ってこれるかすら保証がないのだ。
だから少しでも寂しくないように、
切なさを乗り切れるようにと
大切な人を形の残るものとして収めておきたかったのだ。
なんとも情けのないことである。
少し長めの溜息を吐き、
陽に焼けた畳にごろりと寝転がりカメラを掲げるようにして持った。
少し古びた、けれども綺麗に整備されたカメラは
蛍光灯に照らされ黒く鈍く小さな光を放ち、
情けのない表情を映すレンズにそのおくまで見透かされそうだった。

「ん〜〜〜」

再び腕を組み胡坐をかいてカメラを目の前にすると、
木の撓る音が聞こえ、
顔を上げたときにはもう既に彼女によって襖は開けられていた。

「葉ちょっと・・」

言いかけたアンナの目に留まったのは紛れもなくこのカメラ。
歩み寄り手に取るとアンナはまじまじと見て言った。

「どうしたの?あんたが珍しいじゃない」

「ん〜〜あぁ、まぁな」

口を濁すオイラに首を傾げるとアンナは
『ふうん』
と軽い返事をしてカメラをオイラへと預けた。
何を緊張しているのか激しく脈打つ心臓に、少し汗ばむ手。
きゅっと包んだ部分だけが妙に色を濃くなっていく様を見ながら
オイラは口を開いた。

「な、なぁアンナ。一緒に撮らねぇか?写真」

限りなく高鳴る心臓。

「・・・なんで?」

どことなく低い声。

「イヤ、あの・・・」

焦る。

「厭よ」

遮った越えは低く、どこか震えていた。

「アン・・」

「とにかく、厭だから」

オイラはいつもの黒のワンピースを翻し部屋を出て行くアンナをただ見つめ、
手中にあるカメラをただ見下ろした。

 

 

NeXt→

 

前後編での続き物。
カメラネタ。
情けない旦那も好きです。
変態な旦那も好きですが(本音)

なんか最後の方グダグダですな・・・。
ダメだ、うまく書けないョ!!!