花忍 T

 

「いってぇ・・・」


真っ暗な細い道の両脇には古い木造の家屋が並ぶ。
依頼を受けた除霊の際に出来た右腕の傷は意外と深いらしく、
藍色の着物のその箇所は黒く滲み始め、
乱れる息も冷気が白く染め上げていた。


「やべぇな・・・」


撓る板に背を預け座り込むと、
掠れる息の混じる声でぼそりと呟く。


「何が?」


出血と元々の凍えで震える身体を抱きしめていたとき、
後ろから投げられた声に惹かれ、
振り返ると一人の女がいた。
軽く翻る着物は暗赤色をしていて、
その透き通る声に浮いた心を覚え、
暗がりに隠れた顔を目を細めて見る。
徐々に浮かぶその肌理細やかな肌は白く、
端整過ぎる顔作りは冷たさすら感じさせ、
さらりと流れる髪色もメリケン人を思わせるような珍しい亜麻色をしていた。
恐らく狐にでもつままれた表情をしているのだろう。
軽く首を傾げるとオイラの右腕を軽く取った。


「血が出てるじゃない」


『酷い傷・・』と眉根を寄せ屈んだ自分の着物の裾を手に取ると、
白い脚が嫌に艶かしく晒されて、オイラは不謹慎にも思わず生唾を飲む。
彼女はその脚と同化してしまいそうな白い指に力を込めて、
一つの躊躇もすることなく布地を裂き始めた。 


「えっ、おい、お前何やってるんよ!?」

オイラが慌てふためくのもお構いなしに布地の叫ぶ音は止まない。
先程は暗く赤く見えていた着物もよくよく見ると綺麗な緋の色で、
それをオイラの深く痛みの走る傷にきつく結びつけた。


「止血よ、一応ね」


「あ、あぁ、ありがとな」


驚きを隠せずにいるオイラに『じゃあ』とだけ言い捨てて、
声をかける間もなく再び暗がりへと消えていった。
結ばれた彼女の着物に触れると嫌に心臓が高鳴り、
そこからは彼女のものであろう甘い香の香りがした。

 

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やっとこさup。
まずは出会いから(笑)
艶かしい脚を無理やり入れた(笑)
一番入れたかったんだっ!!
ん〜〜・・・なんか変なんか変・・・・・。