花忍 U
立ち寄った茶屋で茶を飲みつつも脳裏をよぎるのは昨晩会った女の姿
見知らぬオイラの傷の手当てをしてくれた人
名も告げず去っていったその凛とした姿は今でも目に焼きついている
「誰だったんかな・・・」
昨晩傷の手当てに使った女の着物の切れ端を眺めながら呟く
血の染み込んだそれは赤黒く変色し、もはやもとの綺麗な緋の色はほんの一部分
でしか分からない
その切れ端を眺めているとその時の状況が浮かんだ
俯いた綺麗な顔
揺れる柔らかそうな亜麻色の髪
雪のように白い肌
細く白い指先
切り裂くために開いた着物から見えた白い脚
その姿は月の光に照らされ、幻想的なほど美しかった―・・・
その姿を思い出し、しばしぼーっとしていたがすぐに我に帰る
オ・・・オイラ何考えてるんよ・・・!し、白い脚とか不謹慎だろ・・・!?
途端に熱くなる頬を隠しつつも女の姿は離れない
初めての感覚に戸惑う
昨晩から離れぬその姿をもう一度見たいと切に願ってしまう・・・
「葉くん?」
「うおっ!?」
不意に声をかけられた
さして大きな声でもなかったが、自分の考えに浸っていたために思いのほか驚いてしまった
声のした方を向けば見知った顔があった
「おぉ、まん太。驚いたぞ・・・」
「いや、僕の方こそ」
苦笑しつつまん太は答えた
そして、オイラの隣に座り、尋ねてきた
「なんかずいぶんと悩んでみるたいだったけど、どうしたの?」
「え、あー・・・まあ・・・その・・・」
「・・・葉くん顔赤いけど大丈夫?」
「あー・・・。なんというか・・・実はな・・・」
オイラは友人のまん太に昨晩の事を話した
除霊で怪我をし、途方に暮れていた時に会った女
オイラの為に着物の裾を破って傷の手当てをしてくれた事
その女の事が頭から離れない事―・・・
「へぇ、葉くんもそういう事考えたりするんだね」
「まん太、オイラをどんな奴だと思ってたんよ?」
「いや、葉くんってそういうの疎そうだったから」
「うーん、まあ確かにそうなんだがな・・・」
そう、こんな事は初めてだった
一人の女の事が気にかかって仕方がない事など今まで一度たりともなかった
それなのに、昨晩の女の事がどうしても離れない
「で、その女の人探してるっていう事かい?」
「探してるというか・・・もう一度会いてえな・・・と思って。ちゃんとした礼
も言ってないしな」
「・・・ねえ、その女の人って珍しい髪の色だったんだよね?」
「あぁ、綺麗な亜麻色の髪だったぞ。何か知ってるんか?」
「うん、実はそういう人を一人知ってるんだ。葉くんと同じ歳くらいだと思うか
ら多分その人じゃないかな、と思うんだけど・・・」
「え!?」
「亜麻色の髪の人ってこの辺りにそういる訳でもないし。・・・違うかもしれな
いけ
ど・・・。」
「頼むまん太!案内してくれ!!」
忘れられぬあの人ではないかもしれない
それでも、自らの目で確かめたくて必至に頼み込む
会いたい、その一心が故に・・・
「・・・わかった、案内するよ。」
「ほ・・・本当か!?」
「他ならぬ君の頼みだからね。そのぐらいお安い御用さ」
「ありがとう、まん太!・・・それで・・・どこにいるんだ?」
「遊郭だよ。」
「遊郭?」
「うん。僕の父が営んでる遊郭にそういう女の人がいるんだ」
遊郭・・・そこに昨晩会ったあの人はいるのだろうか?
不安と期待が入り混じる感情を抑えながら、まん太の後をついて行った
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この場合の「営む」は経営の方でお願いします(笑)
悶々葉さん・・・。本当はもっと悶々させたかったんだけど、
それじゃ変態になってしまうと思い抑え。悶々葉さん・・・!
アンナは女子って言うより女、って表現がいいな・・・と思い女、で。
ん〜・・・後は任せた!(逃)